4)絶対時間(加齢時間=加齢),つまり加齢
次は後者の時間が重要な意味を持つ私たちの世界です。ここでは周期運動の周期を数えることなしに時間が経過します。腹水盆に帰らず、−不可逆変化−(元に戻らない現象)の連続です。
それでも時間の基準は周期運動の周期を数えることです。そしてこの世界の時間、不可逆変化をしエントロピーが増大することを加齢と呼びましょう。それはエントロピーが増大することを前提に存在する時間です。そしてこのエントロピーの増大、つまり加齢は地球や、太陽、銀河系等の極狭い範囲での現象であると考えられないでしょうか。エネルギー密度に密接に関係した−エネルギー密度が高いゆえにしか起こりえない負荷逆変化と関連した時間が加齢です。
また別の観点で、エネルギー密度のほかに、考察の対象の大きさでも変わります。宇宙規模のマクロ(巨視系)では、すべてを包含して加齢しません。エネルギー密度が高くエントロピーが増大する、銀河、太陽、地球などの世界と、エントロピーが減少する広大な宇宙空間のせめぎあいの世界です。こちらも詳しくは「かくあれかしの」ドップラー効果と赤方偏移を見てください。またミクロ(微視系)の量子力学の世界でも加齢は存在しないような気がします。
地上や、太陽系、銀河系クラスの中視系では加齢の現象が顕著だと思います。エントロピーが増大し、そこには歴史があり、意識もあり、現在、過去、未来が存在します。そして私たちは加齢に慣らされています。経時とともに加齢は必ず起こると経験的に捕らえています。そしてそれが宇宙のすべての領域で普遍的に起こると考えすぎていないでしょうか。しかし宇宙ではまず数えありきで時間が存在します。

経時が宇宙を支配し、加齢は局所で起こる。
数を数えるという認識のない動物には絶対時間(加齢時間)の認識のみ存在する。

閑話休題 エントロピー
物理学のエネルギー保存の第2法則に基づいて、エントロピーという考え方があります。いろいろな説明ができると思いますが、熱いお湯と、冷たい水をいったん混ぜてしまうと、エネルギーを使わずに元の熱いお湯と、冷たい水に戻すことはできないということです。熱い水と、冷たい水に分かれた状態をエントロピーが低いといい、混ざって同じ中間の温度になった状態をエントロピーが高いといいます。エネルギーが熱となって周囲に撒き散らされることをエントロピーが高くなると考えていいと思います。
秩序だって分けられたものはエントロピーが低く、無秩序で交じり合ってしまったものはエントロピーが高いといいます。そしてエントロピーが高くなったものを再びもとの状態に戻すためには、エネルギーを使わなければなりません。そしてその際に使うより大きなエネルギーはつまるところ熱エネルギーとなって周囲に撒き散らされます。これは元に戻ったお湯と水から取り出せる以上のエネルギーを失ったことを意味します。すべてのエネルギーは最終的には熱エネルギーとなって均質な温度になるというのがエントロピーの法則です。