2)加速度運動も絶対運動ではない。 私達は加速度運動すると、加速度による力を感じます。力を感じるだけでなく、実際コップにいっぱいに入った水はこぼれます。だから加速度運動は絶対運動だと思われています。しかし観察される事実は力を受けているということだけであり、その帰結として絶対加速度運動しているのかということでは有りません。何かの基準に対して加速度運動するだけです。通常はその力を加えるものに対して加速度運動します。しかしその力を加えるものがどのように運動しているか決めるものは何もありません。また、力を受けたときに受ける加速度による力(G)は、実は強い力(ここでいう強い力は前項で書いた強い力のことです)による作用を受けたときにだけ発生する、いわば地上の特殊事情です。宇宙をあまねく支配する弱い力の作用ではGを受けることもなく(自由運動)力を受けているという加力(かりょく−力を加えること、作用反作用でこれは力を受けていることと全く同じ意味である)の事実さえ観測できません。力を加えている物との相対運動を観測することによって初めてその相手との加力の事実が分かるのです。 前の項で述べたように、地上では重力方向の弱い力と大地と足の反発力の強い力とがつりあって、それ以上地球の中心には落下しません。その代わり私たちは立っていても、座っていても重さ=体重を感じます。この体重は力が加わっていることの証で、加速度運動してコップの水がこぼれるのと全く同じ作用です。椅子に座って静止していても力を受けています。コップの水は底にへばりついて、重力により下向の力を受けつづけています。反対にロケットに乗って地球を回る人は無重力状態の中で加速度運動をします。またスカイダイビングする人は空気の抵抗で上向きの力を受けながら、最初は下向きに加速度運動し、空気抵抗とバランスして等速運動します。加速度運動することと、力を受けることはこのように全く無関係なのです。 地上で私たちが体重という力を感じたり、急発進、急カーブするとき感じるGは、弱い力と、強い力が作用して、静止していたり(体重を感じる時)、運動している(急発進、急カーブ)ときに起こります。弱い力と、強い力を同時に受けている証拠なのです。体重は重力と大地から足を伝わってくる強い力がつりあって静止します。急発進、急カーブは慣性の弱い力と、車体から加速する方向に強い力を受けて運動します。このように加速度を感じるのは強い力と、弱い力が同時に作用しているために起こる現象です。弱い力同士が作用している場合は、作用している、されている、作用、反作用の両者とも何の力を感ずることがないまま加速度運動したり、運動の方向を変えたりします。 |