3)運動の特異点 このように考えてくると、宇宙には運動の特異点はないということになります。つまり宇宙に対する運動はありません。前述したように加速度運動も絶対運動ではありません。それは弱い力の作用を及ぼされている物体の運動が、第三者によって観測されずに知ることができないからです。また第三者が、自身が宇宙に対してどんな運動をしているかを知るすべはありません。第三者も別の第三者によって観測されなければならないからです。宇宙に対する運動は存在しません。 人工衛星の中で外界を見ないで自身が加速度運動(公転)をしていると言う事を見つけることが出来ますか。潮汐力は発生しているわけで検出できないだけですが潮汐力は何かと何かが相対的に力を受けている(作用反作用ですから当たり前ですね)ことを物語っているだけです。運動に関しては何も言いません。どちらを基準に見ても、全く同じ事が起こります。都合の良い様に見れば良いだけです。 宇宙に対する位置はありません。すべての位置が等価です。どんなに運動しても宇宙での位置は変わりません。逆にどんなに運動していても、どんな運動(例えば加速度運動、慣性系である必要もない)でも運動していないのと同じ意味しか持ちません。ちょうど静止しているのと、等速直線運動しているのがまったく同じ意味−慣性系と呼びます−であったように、加速度運動も、もちろん回転運動(ここでは公転運動だけです。自転は全く別の現象です。)も含めて静止しているのと何ら変わりません。 宇宙に対しては方向だけが意味を持ちます。運動や、位置は相対的な他のものに対するものだけが意味を持ちます。運動や、位置の他のものとの比較の集合的、相対的な意味付けが重要です。 近づいて遠ざかる2点は、どんな系から見ても近づいて遠ざかる。同じように互いに他の周りを回る2点は、どんな系から見ても互いに他の周りを回る。観測者の属する運動系は、自身がどんな運動しているかを決めるものは何もない。その系をを基準に観測する、つまり観測者は常に静止している。(この見方が唯心論的な考え方につながるのではないかという気がします。) つまり2点以上の運動は2点の相対運動が絶対的に観測される、と言う意味において絶対運動となります。 閑話休題その1 人工衛星にジャイロをつめば人工衛星が回ってているのがわかります。なんだやっぱり人工衛星は地球の周りを回っているではないか。その回転は宇宙に対する回転だ。宇宙に対する運動ではないか。私も最初はそう思いました。でも地球が人工衛星の周りを回っても全く同じことがおこります。 そんな馬鹿な!。現にジャイロを見ていれば人工衛星が回っているのが解るではないか!。そうです、人工衛星が方向を変えている−自転しているのがわかります。観察されるのは人工衛星の向きが変わっている事だけです。 実際の人工衛星がどうかは知りませんが、良く図でかかれる人工衛星(ロケット)は進行方向をいつも先端を向けています。一周するとなんと、人工衛星(ロケット)は自身も一回転してしまいます。ジャイロはこの回転を検出しているに過ぎません。人工衛星が地球の周りを回っていることを示すものではありません。 潮汐力も地球が人工衛星の周りを廻っていても、人工衛星が地球の周りを廻っていても全く同じように発生します。系の差です。 人工衛星が先に述べたように進行方向に常に頭を向けていると地球のまわりを一周すると、人工衛星自身も一周します。人工衛星は地球に対して同じ面を向けています。月と同じように。 さて同じ条件で地球が人工衛星の周りを廻ります。つまり人工衛星が自転し、その自転にあわせてその周囲を地球が廻ります。するとどうですか。同じように人工衛星には潮汐力が発生します。人工衛星の地球から遠い方は若干弱い重力を受け続けます。私の潮汐力の理解が間違っているのでしょうか。 この地球中心の見方と、人工衛星中心の見方のどちらが正しいか、決定するものは何もありません。唯一の鍵は質量が圧倒的に違うということだけです。 *ジャイロ コマのことです。回っているコマは自由に運動できる場合は軸の方向を変えません。一定の方向を保とうとします。この性質を利用して方向を捕らえる装置です。身近なところではカーナビや、ロケットにはもちろん飛行機にも欠かせない装置です。 |