５）曲がっている宇宙
宇宙の広がりは無限、例え広がりを妨げるものがあってもその領域はまた空間であることは前にも述べました。広がりは通常物質が対象ですから妨げるものもまた物質（あるいは場）になります。
さて宇宙が広がることは空間が広がることを意味しません。なぜなら空間は無限なのですから。つまり宇宙が広がるとは空間の中の宇宙領域が広がっていると言うことになります。宇宙領域とは何か。それはエネルギー変遷する事象領域（事象が存在する領域）ということになります。
無限の空間（ことわるまでも無く空間はどんな状態であろうと無限なのですが）の中のある位置にエネルギーが集中していてそのエネルギーの広がっていくさまをビッグバンと呼んでいるということになります。
空間もこの位置からは特定の方向へ移動できないと言うことはありえません。特定の方向へ言ってもまた戻ってきてしまうと言う、二次元での球体の表面のようになっていると言う考えもあります。つまり空間の広がりはリーマン幾何学のように歪を伴った空間のよじれによって有限とする考えもありますが私は好きではありません。
私達の世界は空間、広がり的に単純に直行座標が３つある三次元の空間でありそれ以上でも、それ以下でもありません。つまり三次元はただ現在存在している私達の空間でしかなく、それを直交座標系が３つあるから３と言う数字をつけて三次元と呼んでいるに過ぎません。一次元も、二次元も、まして四次元もこの世には存在しません。在るのは三次元と呼んでいる私達の世界だけです。
四次元方向に曲がっていると考えるのは勝手ですが、現実の空間の中の距離は絶対存在です。虫の知らせ意外にこの距離を破壊するものをまだ人類は知りません。多分将来も知りえないでしょう。距離は速さと時間で稼ぐしかありません。
ただし三次元の中では平面を球面にしてリーマン幾何学が成り立ちます。でもそれは三次元の中だから成り立つのです。三次元の四次元方向への曲がり、歪は残念ながら三次元の中ではどう逆立ちしても観察されません。存在しないと言ったほうが正しいと思います。
一次元の線の世界や、二次元の面の世界は論理的に存在して、確かにA地点からB地点への距離と速さと時間を計算して成り立ちますし、ナイルの氾濫のたびに計算して区分けした幾何学が有効です。でも実存在はすべてこの空間の三次元での話であり、面だけの実存在などありえません。どんなに薄い紙も体積を持つように、それはいつも体積の一つの面でしかありえません。
繰り返しますが私達のいる世界は三次元と呼んで、３と言う数字を頭につけて次元という数字が変えられるような呼び名をつけていますが、それで二次元や、四次元などの世界があるかというものではありません。この世界がただ単に直行座標系を３つ持つ世界であるだけで、直行座標系が２つとか、４つ在る世界が存在するわけではありません。この世界の実存在はただ一つの私達の三次元の世界だけです。それ以上もそれ以下も存在しません。三次元と呼ぶより、彼岸に対する現世（空蝉）と言う表現（いわゆる、あの世この世です。意識上の世界？）のほうが合っているのかもしれません。
さて、宇宙が空間と同じ大きさならば、膨張しません。何度も述べましたように無限の空間はそれ以上広がりません。私達の感性が無限は広がらないといっていますからそれに逆らう理由などどこにもありません。
宇宙が空間の中の領域で、その宇宙の領域が異質性を持ち他と区別できるのならば、宇宙は有限であり、膨張もするでしょう。宇宙の外はその異質性を異にする領域です。例えば全く背景輻射の無い領域とか、逆にエネルギー密度は異常に高く物質が通過できない領域であるとか言うことではないかと思います。
今までにその領域が観測されたことがあるでしょうか。遠すぎて観測できないのでしょうか。
大事なことを一つ忘れていました。膨張宇宙論の最大根拠？の赤方偏移です。あれはドップラー効果ではないと考えています。物質の考えところで述べましたように、場（電磁場、重力場）がエネルギーの揺らぎをつくりその揺らぎが物質へと変遷します。その領域を通過する電磁波はトラップに荷担して少しエネルギーを失います。そして遠くを旅する電磁波ほど多くのエネルギーを失っていきます。かく遠い光ほど波長は長いほうへとずれてゆきます。
電磁場は強い力を形作りますから重力場より物質を作り出す作用は大きいような気がします。失うエネルギーもそれだけ大きいはずです。
私がこんなばかげたことを考え出したのも、赤方偏移の話を読んだときにドップラー効果と結びつけたのは単純すぎると考えたからです。もう一つには空間は膨張しないと言う今回の主張があり、ディラックの海で物質が生まれるのならばそれは揺らぎではないかと考えたからです。
